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日本語版


原稿作成日: 2013年3月31日
最終修正日: 2016年9月23日
公的研究費の取扱い


<教材提供>
文部科学省事業 CITI Japan プロジェクト


公的研究費の取扱い
はじめに
P 1/14

公的研究費は、国からさまざまな形で研究者へ支給されます。国家予算に占めるその額の大きさは、国民が研究者たちに寄せる期待と信頼を表しています。国民からの信頼と支援を大切に維持していくためには、公的研究費の取扱いについて、研究者は極めて慎重でなければなりません。

公的研究費の「倫理的な運用」で大切なのは、研究者自身の良識のみで判断するのではなく、「社会の中の研究者」という視点を持つこと、つまり、研究者として独り善がりに判断することなく、法律・指針などの社会的ルールを守ることです。


データのねつ造、改ざんという不正行為を行うこと、科学的な配慮を欠く研究に公的研究費を投入することは、国費の無駄使いです。本単元では、これらの倫理問題とは異なる次の2つの公的研究費の取扱いに関する倫理問題を解説します。

  • 公的研究費の不正使用・不正受給。
  • 重複・過度の公的研究費の申請と受給。
学習目標:
  • 公的研究費の取扱いをめぐる2種類の類型を説明できる。
  • 研究機関の責任と経理担当事務職員の責務を説明できる。
  • 事務担当者の連絡仲介役としての役割を説明できる。
  • 不正経理に対する処罰について、日米の現状の違いを述べることができる。
  • 日本における公的研究費の不正使用・不正受給の例を類別して挙げることができる。
  • 重複・過度の公的研究費の申請と受給を避けるべき倫理的理由を説明できる。
  • 「エフォート」を記載する目的と正しい記載方法を説明できる。
公的研究費の取扱い
チームの共通目標
P 2/14

科学研究では、その成果を得るまでに多くの人がかかわっています。それは、主任研究員、共同研究者、技術員ばかりではありません。例えば研究に必要な公的研究費の申請を行った際には採択へ票を投じた審査員がいますし、論文が学術誌に投稿された際にはピア・レビューにかかわった研究者がいます。彼らは科学者ですが、同様に重要な役割を果たしているのが事務担当の職員です。事務担当の職員は、国民の財産をより有効に使いながら、研究者が研究に専念できるよう働く研究チームの一員です。


研究機関では、研究支援課や経理課といった部署を設け、それぞれに公的研究費の運用や経理を専門に取り扱う事務担当者を置き、資金配分機関と研究者との経理上のやりとりの円滑化を図るとともに、公的研究費の不正使用の防止に努めています。資金配分機関から競争的資金を受けている研究機関は、各種の「指針」に従ってその事務担当者に資金の管理と運営の責務を担わせています[1,2,6,9,17-22]。競争的資金に含まれる「間接経費」と称されるものは、このような管理事務費を使途の一部として用意されたものです[3]


したがって、事務担当者は、研究者の要望を資金配分機関の定めるルールの枠内で具現化していく役割を担っています。企業の職員であれば当然担うべき、会社の発展と防衛の役割です。そこでは、ルールに精通していることが必要とされます。ルールに精通していればいるほど、研究者に本来与えられている自由度を最大限に活用させ、事務担当者自身も研究の発展に貢献できるのです。その一方で、事務担当者の知識不足は、研究者を縛ったり、あるいはルール違反を犯して研究を立ち行かなくさせたりすることもあります。実際、知識不足のために、本来不正をせずとも購入できる物品を、虚偽の記載を通して入手したばかりに、不正行為と見なされた不幸な事例があり、それは後に紹介します。


日本では、公的研究費をいかに管理・運用するかの最終的な責任は、研究者が所属する機関が負っています。したがって、事務担当者と研究者の双方にとって、リスクを避ける意味でも、研究で高い成果を挙げる上でも、資金配分機関と研究者との連絡仲介役の役割を担う事務担当者がルールや問題がいかなるものかを学んでおくことは必要不可欠なのです。


特に、経理担当者はしばしばその業務の中で、倫理的な判断が求められる立場に立たされます。資金配分機関が設定しているルールを守ることは、究極的には研究者と研究機関を守るということですが、その一方で、研究者の自由度を確保し、研究の発展に寄与するという役割もあります。業務を進めていくうちに、ルールから逸脱しようとする研究者からの強い要求があるかもしれません。また、一人一人の研究者の利益と、所属研究機関あるいはその親組織である各種法人との利益が相反する場合もあるでしょう。さらには、会計監査を恐れるあまり、事務作業を煩雑化し、研究者の自由度を必要以上に制限したいという思いも交錯します。そういった中で、自己の倫理的判断が求められるのです。

公的研究費の取扱い
資金配分機関ルールと機関内ルール
P 3/14

ルールには資金配分機関の設定するルールと、それらを踏まえて研究機関自体が設定するルールがあり[4,5]、研究活動はこの両方のルールの下で進められなければなりません。経理担当者は、その両方のルールに精通していることを前提としており、個々の支出に対して承認を与える立場にあります。

その一方で、研究者は国民から研究で成果を挙げることを託されています。研究機関は、ルールを設定するに当たっては、研究者の自由度を必要以上に制限することのないよう配慮することが求められています。

公的研究費の取扱い
日本における公的研究費運用に関するルール作り
P 4/14

科学研究費補助金など資金配分機関が交付する公的研究費には委託費のほかに補助金があり、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)」の規定が適用されます。補助事業者は、補助金適正化法に違反すると、懲役や罰金等が科される可能性があります。また、研究者は、「科学研究費助成事業-科研費-科学研究費補助金学振研究者使用ルール(補助条件)」など資金配分機関が定めるルールにも留意しなければなりません。

また、公的研究費の不正使用が相次いで報道される中、国費を効果的・効率的に研究へ向けて投資することを目指して、総合科学技術会議は平成18(2006)年、公的研究費の不正使用等の防止に関する取組について[6]を策定し、その中で関係省庁および研究機関に対して、共通の指針にのっとって経理の運用を徹底して行うよう求めました。そしてこれに応じて、文部科学省の「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン[1]を始め、関係省庁において実施基準が決定されました。また、政府は、平成17(2005)年に「競争的資金の適正な執行に関する指針」(平成24年10月17日改正)を公表し、関係機関(内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)の間で連絡会を組織して申し合わせを行っています。そして、それを通じて競争的資金の不正受給・不正使用、不合理な重複や過度の集中の排除に関するルールを、ねつ造などの他の研究上の不正行為に関するルールとともに作成しました[7]。このような省庁からのガイドラインの提示に伴って、最近ではほとんどの研究機関において機関内規程が整備されてきています[8]

公的研究費の取扱い
研究機関の責務
P 5/14

日本の公的研究費の管理・運営に関するルールの特徴は、研究機関にその責任のウェイトが置かれていることです。文部科学省は同省およびその所管する独立行政法人からの公募型の研究資金のガイドラインである「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン[1]の中で、「研究費の管理は機関の責任において行うこと」としています。研究機関の中に公的研究費の運営・管理について最終責任を負う最高管理責任者を設けて、一律の基準と制度を設けることを義務づけるとともに、最高管理責任者を補佐し、公的研究費の運営・管理について研究機関全体を統括する実質的な責任と権限を持つ統括管理責任者を置き、さらには、学部などの一定の独立した事務機能を備えた部署ごとに当該部署における公的研究費の管理・運営について実質的な管理・運営権限を持つコンプライアンス推進責任者を置くことを求めています。一般的には、大学の学長・副学長・学部長がそれぞれの任に当たることになります。その一方で、研究者の研究能力を最大限に生かすため、研究者と事務担当者の権限と責任について両者の間で合意し相互理解を深めることを求めています。事務担当者には研究活動の特性について理解させ、研究者には不正が機関全体、さらには、研究活動にかかわるすべての者に深刻な影響を与えることを理解させる必要性を述べています。また、研究機関単位で研究者と事務担当者を対象とした行動規範を策定するとともに、モニタリングと監査制度を整えることも求めています。

公的研究費の取扱い
不正使用・不正受給に対する罰則
P 6/14

欧米と同様に日本においても公的研究費の不正使用に対しては、研究費の返還と申請資格の期限付き停止の罰則が設けられています[9]。しかし、刑事訴訟に至るものは極めて稀です。この処罰の違いの背景には、米国の研究公正局(Office of Research Integrity)に相当する独自の専門審査機関が日本にないことがあります。また、日本学術会議は研究倫理の教育プログラムの作成について、「外国における同種プログラムを参考にする一方で、研究不正に関する日本と外国の文化の違いに十分注意し、欧米のプログラムを日本にそのまま機械的に導入することには慎重でなければならない」[10]と述べています。つまり、研究不正に関する罰則等の対応策は、国ごとの事情に合わせたものが必要だと考えられているのです。

次々に明るみに出る公的研究費の不正使用に対し、政府は近年、研究費の使途に関するルールの徹底した順守を求めるべく、研究機関には書類の厳格な整備を義務づけて監視を強め、研究者への罰則を重くする一方で、各種公的研究費を供給する省庁は連携して不正に関する情報を一元化して「抜け道」を絶とうとしています[2,11]。今日、研究者や研究機関からは、これらの事務手続きに伴う時間と経費の負担に関して不満の声が聞かれますが、国費を預かる政府のこういった姿勢は、不正が続く現状においては当然とも言えましょう。こうした視点に立てば、事務担当者は適切な行動を通じて自分が支援する研究者個人を守るだけではなく、研究者コミュニティ全体の活性度を確保する役割もあることが理解されるはずです。

しかしながら、研究者が責任ある研究行為を遂行するために重要なのは、罰則等のルールを覚えることだけではありません。とりわけ、これから研究者になろうとする大学院生等が成長していく過程には、社会の一員としての自覚と責務の認識が育っていく過程が含まれているべきです。そのため、研究者の育成に当たって「XXをするな」「XXをせよ」といった幼児に対するようなルール教育に走ることなく、「なぜか」を伝え、自らの判断力を養成する倫理教育が大切です。

公的研究費の取扱い
公開された公的研究費の不正使用・不正受給例
P 7/14
(文部科学省公開サイトより一部を引用[1,12,15]

物品費に関するもの(預け金)

物品費にかかわる不正で最も多いのが、業者に架空の取引を指示するなどして、虚偽の納品書や請求書等を作成させることにより、研究機関から研究費を支出させ、そのお金を業者に管理させる「預け金」です。研究者の中には前年度の研究費を翌年度の研究費の入金までのつなぎとするために、ルール違反と知りつつも「預け金」の方法を用いる者もいました。なお、平成18年度以降、研究者が提出する資料の簡素化により、ある一定の条件を満たし、申請の手続きを行って承認されれば、次年度への繰り越しがスムーズに認められるようになっています。 [13,14]


「預け金」の事例

  • 平成15年度に交付された科学研究費補助金において、学内規程により原則として支払えないこととされていたビジネスクラス航空運賃を捻出するため、エコノミークラス航空運賃との差額分などについて、消耗品を購入したように架空の請求書を作成するよう業者に命じ、これを大学に請求して不正に受領していた。また、私用目的で購入した書籍代(中学生参考書)や研究に直接関係のない物品(シェーバー)の購入代金を立替払金として大学に請求していた。
  • 平成16年度に交付された21世紀COEプログラムにおいて、研究拠点形成活動の一環として刊行物のCD-ROM化を業者に発注し、当該作業の多くの部分を発注業者から自らが下請するという不適切な経理処理により、結果的に資金を還流させていた。
  • 平成16~18年度に交付された科学技術振興調整費において、納入実績のない架空の納入書・請求書の作成を業者に指示し、支払われた代金を預け金として管理させていた。
  • 平成15~17年度および平成19年度の科学研究費補助金において、業者に架空の取引を指示し、虚偽の請求書などを作成させた。これにより架空の取引にかかわる購入代金を研究費から同大学に支払わせ、当該購入代金を業者に預けて別途に経理し、補助事業に関連しない研究用物品や、実際には請求書などの内容と異なる物品(パソコンなど)の購入費などに充てていた。
  • 平成19~21年度の科学研究費補助金において、事務職員が研究者の許可なしに物品を発注し、納品されたものを自宅に持ち帰り、私物化していた。

物品費にかかわる不正処理と判断されたものの中には、研究者の知識不足ないし事務担当者の周知不足のため、本来ならば虚偽の申告をせずに購入できていたものも含まれます。

  • 平成15~19年度の科学研究費補助金において、業者に架空の取引を指示し、虚偽の請求書などを作成させた。大学に架空の取引にかかわる購入代金を研究費から支払わせ、当該購入代金をもとに実際には請求書などの内容と異なる物品を納品させていたほか、コピー機の使用料や修理代などに充てていた。当初の研究計画で、計上していない物品などの経費は支出できないとの誤った認識から行っていたものである。
  • 平成22年度の科学研究費補助金において、立替払いの書籍購入請求で領収書のねつ造などにより、研究に必要な高額書籍などを購入していた。不正請求の原因としては、研究者が研究費の不正防止の説明会に参加せず、会計事務の手引きなどにも目を通さず、会計処理の意識がなかったことと、事務局による全教職員への注意喚起・周知徹底が十分でなかったことが挙げられる。
公的研究費の取扱い
P 8/14
旅費に関するもの(カラ出張)

実体のない出張に出張費を請求して受給するもの、他の支援機関から旅費を支給されていた出張に旅費を請求し、二重の給付を受けるもの、割引航空券などを購入しながら、旅行業者には正規料金の領収書を用意させてその額を受領するもの ----- これらの他にも、本来の出張目的とは異なる目的のために滞在を延長して、そのための滞在費を水増し請求したり、家族を同伴して、それによって加算される費用も公的研究費から支払わせるといったことが行われてきました。


「カラ出張」の事例

  • 平成15年度に交付された科学研究費補助金において、出張を取り止めたにもかかわらず、偽りの出張報告書を提出して出張が行われたかのように装い、不正に旅費を受領していた。
  • 平成16年度の科学研究費補助金において、海外渡航にかかわる旅費に、妻子を同伴するための費用を含んで精算したほか、研究課題の目的から外れた共同研究の打ち合わせをするために、旅行予定外の目的地に滞在した。
  • 平成14年度および平成16年度に交付された科学研究費補助金において、①そもそも必要のない出張を行っていた、②用務地で用務を行わず、単に気分転換していたにもかかわらず、用務を行ったとして旅費を虚偽請求し受領していた、③旅行命令の旅行期間よりも1日早く用務が完了したにもかかわらず用務地にとどまり、旅行期間の短縮を行うことなく虚偽の旅費精算を行い、概算払いにより受給した旅費の返還を行わなかった。
  • 平成16~22年度の科学研究費補助金において、実際に行っていない出張や旅行命令に記載された期間や出張先などが実際と一致していないものがあり、一部については、業者に虚偽の請求書などを作成させて、家族の旅費を請求していた。
公的研究費の取扱い
P 9/14
人件費・謝金に関するもの(カラ給与・カラ謝金)

研究支援者として雇用した学生等に勤務実態のない虚偽の勤務時間を申告させることにより、研究機関に研究費を支出させ、学生等が受領したお金を自分に還流させるのが一般的な手法です。


「カラ給与・カラ謝金」の事例

  • 平成11~15年度に交付された科学技術振興調整費などにおいて、実体のないアルバイト賃金を支出させ、受け取った学生から個人の口座に入金させ、私的流用(投資信託化)していた。また関連する業者からの架空請求があった。
  • 平成13~18年度の科学研究費補助金において、研究室に所属する学生名義で架空の謝金請求を行い、謝金を受け取った学生から研究室に還流させ、留学生支援、学生の現地調査活動経費や学会参加費など、研究室の運営費などに使用していた。
  • 平成14~18年度の科学研究費補助金において、実体のない謝金用の出勤表を大学院学生に作成させて請求し、大学に補助金を支出させ、大学院学生の学会参加の旅費に充てていた。
  • 平成17年度および平成18年度の科学研究費補助金において、研究室に所属する研究生の名義貸しを依頼し、自らが管理する銀行口座を開設し、架空の謝金請求を行い、研究期間終了後に使用する研究費として保管していた。
  • 平成19年度の科学研究費補助金において、研究協力者である学生に虚偽の出勤簿を作成させ、同大学に謝金の架空請求を行い、当該架空請求にかかわる謝金を回収し、これを当該学生の学会参加にかかわる旅費などに充てていた。
公的研究費の取扱い
P 10/14
その他
  • 平成8~15年度にかけて、応募・受給資格がない研究者が科学研究費補助金の応募・交付申請を行い、不正に補助金を受給していた。

このほかにも、キックバックや行き過ぎた不適切な供応など、さまざまな問題があります。

公的研究費の取扱い
不正使用の背景
P 11/14

これまで公的研究費の不正使用と見なされたものは、私的流用を目的としたものばかりではありません。しかしながら、今日でもなお発覚が続く背景には研究者、研究機関、そして、資金配分機関のそれぞれが持つ課題があります。

  • 研究者
    1) 「公金」というよりも「自分のお金」という認識。
    2) 研究のためにはルール違反もやむを得ない、という意識。
  • 研究機関
    3) 事務職員の研究内容や研究機器に関する知識不足。
    4) モニタリング体制の不足。
  • 資金配分機関
    5) 年度間・費目間流用の制限。
    6) 制度間のルールの違い。

会計検査院の最近の調査[8]では、不正使用防止のための内部規程がほとんどの研究機関で整備されています。しかし、「業務の円滑化、効率化のため」として多くの機関で研究者による業者の選定および発注を容認しているようです。研究用物品の発注全体に占める研究者発注の割合は、金額にして約60%に達することが判明しています。さらに、研究者が選定・発注する取引先が同一業者に固定化している傾向が強く、また、発注物品の検収業務が省略されている機関も一部に見られました。ここに、研究者と業者間で不正な取引などが発生するリスクが存在します。一方、業者の選定・発注・検収を事務サイドが行う場合には事務サイドと業者間での癒着が、過度の供応、天下り雇用といった形で生じうるものと考えられます。

「公的研究費は使いにくい」という長年聞かれる研究者の苦情は、具体的には上記5)、 6)を指摘したものでしょう。単年度会計を原則とする中で採択時期が会計初年度の半ば以降となる際の不都合も上記5)に属するものです。こういった不都合については各省庁も認識し、研究会を定期的に開催し、研究者の自由度を拡大すべく、制度上の改善を図っているのも事実です[23]


公的資金によって物品などを仕入れる、すなわち「公共調達」における不正は公共工事・防衛事業を始めとして、ありとあらゆる部門で生じる問題です。これに関し、金本良嗣氏は次のような公共工事の汚職の背景と改善に向けた提言[24]を行っていますが、その内容は公的研究費の不正使用に通じるものがあります。下記は、その提言の中の「公共調達におけるインセンティブの欠如」から一部抜粋したものです。


「公共部門における調達が民間企業のそれと決定的に異なるのは、公共発注者には良いものを安く調達するというインセンティブが働かないことである・・・日本の仕組みは、コスト削減インセンティブを与える代わりに、細かい規制によって発注者の裁量権をしばるというアプローチがとられてきた・・・規則(法令)によって発注者の裁量権を縛るアプローチの最大の問題は、規則さえ守っていれば、コストダウンの努力をする必要がないという風土を生んでしまうことである・・・発注者の裁量権を縛ることで汚職等を防止するのはうまくいかない・・・汚職等については、摘発、処罰で処理すべきである。幸いにして、アメリカの連邦政府では発注がらみの汚職はまれである・・・技術者(を含む調達に携わる者)の間のやり取りはメモに残すことになっていることも問題が起きない1つの要因であろう」

公的研究費の取扱い
重複・過度の公的研究費の申請と受給
P 12/14

同一の研究者が同じ研究プロジェクトに関して、公的研究費を重複して申請し、受給することは不必要な支出につながるもので、これも国民資産の浪費を招く行為です。公的研究費が企業などからの研究資金と重複する場合も、同様です。そのような場合、研究者側からは、「同じプロジェクトへ重複して流入した資金は申請内容の研究をさらに広げたり、加速したりする目的に使用する」といった釈明が聞かれます。しかし、拡大・加速の内容の是非に関する判断は研究者の主観的なものであり、国民に判断を託された審査を通じたものではありません。

その一方で、一見、重複と見られそうな重要プロジェクトを申請する場合には、研究者自身が「重複ではない」と考える根拠を、例えば方法・材料の違いなど、できる限り具体的な根拠を持った、説得力ある説明が必要となります。

公的研究費の取扱い
P 13/14
エフォート (Effort)

たとえ非常に能力のある研究者といえども、質の高い研究で成果を挙げていくには、一定の時間配分が必要です。また、経験の浅い研究者でも、大幅な時間配分を行えば、質の高い研究を生み出すことができる場合があるはずです。公的研究費への申請を審査するに当たっては、計画の実現可能性という点が重要な評価項目となります。この計画の実現可能性を判断する上で指標とされるのが、「研究者の熟練度 × 当該プロジェクトへの時間配分」という、「質」と「量」の「積」という概念です。

この考え方が土台となって、今日の公的研究費の申請に当たっては、自分の全仕事時間を100%とした場合のその研究への配分時間をパーセントで表した数字を「エフォート」として記入することになっています。その際、採択を目指す研究者は、できるだけ高い数字を書き込みたいと思うものですが、他のプロジェクトとの合計で100%を超えることは当然できません。このシステムを通じて、国は特定の研究者や研究グループに効果的、効率的には使用できないほどの研究費が集中することを避けようとしています。

エフォートに関して、「私は普通の人と違って、1日15時間、土日も働くから、100%を超えた数字が許されるべきだ」という考えがあります。しかし、審査に当たって評価されている研究者の「熟練度」は本人がそのような時間を費やして成し遂げた業績が基になっていますから、あくまで本人の「超過勤務」を含む仕事時間全体に対するパーセントが、そのプロジェクトへの時間配分として表記されるべきなのです。

公的研究費の申請に当たって、エフォートは、研究者の全仕事時間を100%とした場合の、該当する研究プロジェクトへの配分時間をパーセントとして記入することが求められています[15]。しかし、企業などからの委託研究や、研究以外の業務でのエフォートを含めた上での合計100%以内というルールの中で、該当する研究のエフォートを表記することは本人の倫理意識に委ねられています。医学部の臨床系の教授が附属大学病院での研究以外に管理・診療・教育を行ったり、アルバイト先の病院で勤務したりして、結果的に研究に費やす実質のエフォートが残りのほんのわずかにもかかわらず、100%というエフォートの枠をすべて使って、公的研究費を集めるということは現実に可能ですが、適切ではありません。こういった行為は、研究資金の効果的運用に逆行するばかりでなく、医学部の臨床系における旧態依然としたボス支配の構図が温存されるなど、若い研究者の独立した活躍の機会を奪う素地ともなり得ます。実際のエフォートがほとんどなく、プロジェクトへの知的関与もほとんどない場合は、たとえ公的研究費の研究代表者であろうとも、研究論文の著者として名を連ねることは、今日の国際的な著者の持つ権利と責務に関する倫理基準にもとるものです。

この点に関して、米国においては、研究のみならず他の業務である診療・教育などの時間配分も100%の枠内のエフォートとして表記する一方、エフォートに応じて、資金配分機関、病院、大学よりそれぞれの給与分が支払われる仕組みになっています。しかも本人の実際の時間配分が申告上のものと一致することを確認する監査や実地調査も行われますから、実際の時間配分が申請書に記載するエフォートを大幅に下回るといった現象は起きません。これが可能なのは、米国の公的研究費には研究者の給与が含まれているためであり、この点で日本と大きく異なっています。日本の場合、一部の教員の給与は、国公立ばかりでなく私立大学においても間接的に文科省から部分的に供給されているとはいえ、研究へのエフォート値を反映したものではありません。

公的研究費の取扱い
おわりに
P 14/14

経済的にも多難な時代を迎えつつある日本ですが、その中で研究に振り分けられる国費はまさに国民の研究への信頼と期待が込められています。虎の子の国費を使っていかに質の高い成果を効率的に挙げるかは、研究者とそれを支える事務担当者の手にかかっています。私的流用はもちろんのこと、研究者の独り善がりの資金の流用は、期待と信頼を裏切り、結果的に研究全体への支援を危うくするという点からみて、不正防止は研究にかかわる者すべてが取り組むべき問題です。

公的研究費の取扱い
参考文献

[6] 総合科学技術会議
公的研究費の不正使用等の防止に関する取組について(共通的な指針)
[22] 総合科学技術会議
各省庁の関連する取り組み
[24] 金本良嗣「公共調達制度の課題」『ファイナンス』Vol. 41, No.2,2005年5月号,
65-72, (2005)


本単元は、CITI Japanプロジェクトのメンバーが、プロジェクトに賛同する多くの専門家の協力を得て、日本の法令・指針その他に沿って作成した教材です。作成に参加した専門家の方々の氏名は、こちらに掲載されています。







English Version

Drafted date: 2014.7.1
Last update: 2016.9.23
Managing Public Research Funds


< Material provided by >
MEXT Project CITI Japan Project


Managing Public Research Funds
Introduction
P 1/14
The national government provides researchers with various forms of public research funds. The substantial sums allocated to this funding under the national budget reflect how much faith the general public places in its country’s researchers. In order to maintain the people’s trust and support, researchers are obliged to be very cautious in their handling of public research funds.

In order to ensure that public research funds are used in an ethical manner, researchers need to refrain from making decisions based solely on what seems right to them, but should rather consider their decisions in light of their duty to society. To put it another way, researchers shouldn’t act solely out of their own best interests, but should make decisions based on the same rules (such as legislation and public policy) that all members of the society are required to observe.

Taxpayers’ money is at times wasted on studies that use fabricated or falsified data, or that lack scientific merit. In this module, however, we will examine two other ethical issues that arise in the handling of public research funds:
  • Public research fund misappropriation and grant fraud
  • Duplicated or excessive public research fund grant applications
Learning Objectives:

In the course of this module you will learn to:
  • Explain two types of misconduct associated with the handling of public research funds.
  • Explain the responsibilities of research institutions and of accounting administrators.
  • Explain the ways in which administrative personnel act as liaisons.
  • Identify differences between the penalties incurred for fraudulent accounting in Japan and in the U.S.
  • Identify examples for each category of public research fund misappropriation and grant fraud in Japan.
  • Account for why the application for and receipt of duplicated and excessive public research funds is ethically wrong.
  • Explain why funding applicants must declare “effort”, and how to calculate it.
Managing Public Research Funds
Working toward Common Goals
P 2/14
Many individuals need to get involved in scientific research in order to make it a success. In addition to the principal investigator, research projects require the participation of co-researchers and technicians, as well as grant proposal reviewers to vote for funding, and peer reviewers to review manuscripts prior to publication in academic journals. Administrative personnel also have an important role to play on the research team. They work alongside researchers, ensuring that taxpayers’ money is used in a cost-effective manner, and running the laboratory in a way that allows researchers to concentrate on their work.

Research institutions usually assign administrative personnel specialized in the use and management of public research funds to both the research support division and the accounting division. These personnel facilitate the flow of accounting information between the funding agency and researchers, and endeavor to prevent misappropriation of public research funds. Research institutions that have won funding from competitive funds are, in compliance with the funding agency’s policies, required to delegate the management and use of awarded funds to administrative personnel [1, 2, 6, 9, 17-22]. Nowadays, money granted by competitive funds tends to include an “indirect expenses” category, allowing research institutions to allocate funds to cover these administrative and accounting expenses [3].

The role of administrative personnel is therefore to try to respond to the needs and demands of researchers without breaching the funding rules laid out by the funding agency. Their role resembles that of private sector employees, who are expected to assume responsibility for protecting the business and moving it forward. To achieve these goals, all administrators need to be familiar with the rules. The more familiar they are with the rules, the more they will be able to maximize the freedom that is integral to researchers’ work, thereby making their own contribution to the research. Conversely, administrative personnel who lack such knowledge tend to keep researchers on a short leash, or commit policy violations that could even lead to the termination of the research project. Later we will look at one unfortunate incident where an ill-informed administrative worker, under the impression that a certain purchase was not allowed, attained goods by false means and was charged with misconduct, even though the items in question could actually have been attained by legitimate means.

In Japan, it is the institution to which researchers belong that is ultimately responsible for the management and use of public research funds. In order to avoid risks while at the same time maximizing research productivity, it is therefore imperative, for the sake of both administrative personnel and researchers, that the administrative personnel who act as liaisons between researchers and funding agencies do their utmost to familiarize themselves with the rules and potential problems.

Accounting personnel are particularly likely to be put in the position of having to make ethical decisions. While observing the rules established by the funding agency is ultimately in the best interests of researchers and of the research institution, accounting personnel are also responsible for making sure that researchers have enough freedom to move ahead with their research. In the course of their work, they may be put under considerable pressure by researchers who are looking to break the rules. It may also happen that an individual researcher’s personal interests are at odds with the interests of the research institution or its parent company as a whole. Furthermore, fear of accounting audits may tempt accounting personnel to cut administrative corners, with the result that researchers’ freedom is unnecessarily curtailed. It is in these kinds of situations that personnel are pressed to make ethical decisions.
Managing Public Research Funds
Agency Rules and Institutional Rules
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Two types of rules apply to research projects: those set forth by the funding agency, and those set forth by the research institution itself based on the agency’s rules [4,5]. All research activities fall under these two sets of rules. Accounting personnel are required to be familiar with both, and are given the authority to approve each and every expense.

As for researchers, the public entrusts them with the responsibility of carrying out research projects that produce fruitful results. In developing institutional rules, research institutions are required to come up with ways to prevent excessive restrictions from being placed on researcher freedom.
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Creation of Japanese Rules on the Use of Public Research Funds
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Japanese government-funded public research funds, such as Grants-in-Aid for Scientific Research, are subsidies that fall under the provisions of the Act on Rationalization of Budget Execution Pertaining to Subsidies, etc. (Subsidies Rationalization Act). If those in receipt of subsidies (principal investigators (PI) and research collaborators) violate the Subsidies Rationalization Act, they may face criminal penalties including imprisonment and fines. Researchers must also take note of the provisions of the Grants-in-Aid for Scientific Research Program – KAKENHI –Grants-in-Aid for Scientific Research JSPS Fellows Grant Usage Rules (Grant Conditions).

In 2006, the Council for Science and Technology Policy responded to sustained media coverage on the misappropriation of public research funds by issuing a report entitled On Initiatives to Prevent the Misappropriation, etc. of Public Research Funds [6], with the aim of ensuring that the investment of government funds in research was done in an effective and efficient manner. This report recommended that the relevant government agencies and research institutions abide by a common set of guidelines to ensure that all accounting work is conducted in the correct manner. In response to this recommendation, the relevant government agencies formulated codes of good practice, such as the Guidelines for Managing and Auditing Public Research Funds at Research Institutions [1] that were implemented by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT). Furthermore, in 2005, the Japanese government issued its Guidelines on the Proper Implementation of Competitive Funds (revised October 17, 2012), and all relevant agencies (CAO, Cabinet Office; MIC, Ministry of Internal Affairs and Communications; MEXT, Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology; MHLW, Ministry of Health; Labour and Welfare; MAFF, Ministry of Agriculture; Forestry and Fisheries of Japan; METI, Ministry of Economy, Trade and Industry; Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism; and MOE, Ministry of the Environment) collectively established a liaison committee to make arrangements. This liaison committee developed rules to help eliminate grant fraud, misappropriation of competitive funds, unreasonable overlap of grant proposals, and over-funding of particular principal investigators, as well as rules concerning other forms of research misconduct such as fabrication [7]. Most research institutions have now followed these government agencies in setting forth their own rules on an institutional level [8].
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Responsibilities of Research Institutions
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Japanese rules on the management and use of public research funds are characterized by the amount of responsibility that is born by research institutions. In the Guidelines for Managing and Auditing Public Research Funds at Research Institutions [1], which apply to competitive research funds that are sponsored by MEXT or by its delegated independent administrative corporations, MEXT states that “responsibility for the management of funds, etc. should be born by the research institution”. The guidelines stipulate that each institution appoint a chief manager who can oversee the management of research funds at an institutional level, and who can take charge of devising a uniform set of standards and a system for their implementation. MEXT also makes it mandatory for institutions to appoint an administrative manager who has substantial managerial authority. In addition, each independent unit within the institution, such as individual faculties or departments, are required to give an administrator the responsibility of managing and operating the unit’s research funds. These three positions are generally assumed by the president, vice-president and dean, respectively. Furthermore, to help researchers get the most out of their research, MEXT requires that researchers and administrative personnel establish an open discourse that allows them to clearly delineate their respective authority and responsibilities. The guidelines also emphasize that administrative personnel should develop an understanding of the nature of research, and that researchers should understand the serious impact that fraudulent conduct would have on the entire institution as well as on everyone involved in the research itself. Finally, each research institution is required to develop a comprehensive code of conduct that is applicable to all researchers and administrative personnel, and to establish an institution-wide monitoring and auditing system.
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Criminal Penalties for Misappropriation and Grant Fraud
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Similarly to countries in Europe and North America, Japan has penalties for the misappropriation of public research funds: research funds may be reclaimed and eligibility for grant application may be suspended [9]. However, unlike in these countries, in Japan it is extremely rare for accusations to be followed up with criminal charges. One factor behind this discrepancy in enforcement is the absence in Japan of an independent third-party organization equivalent to the United States’ Office of Research Integrity, which specializes in reviewing these kinds of cases. Further, as reflected in the Science Council of Japan’s statement that, “we should be cautious of reflexively applying European or North American-style measures (against misconduct) in Japan, as researchers here haven’t developed an equivalent level of autonomy” [10], researchers in Japan are considered to be “minors” who need protection.

Recognizing the great number of public research fund misappropriation cases now being discovered, the Japanese government has started to take a stronger stance: it now demands thorough compliance with rules on the use of research funds, closely supervises research institutions by having them submit extensive documentation, and researchers who break the rules are now subject to sterner penalties. Also, in order to mend the loopholes in the vertical administrative structure, the various government agencies that grant public research funds have now started working together to pool information on fraudulent conduct [2,11]. Although researchers and research institutions have complained about these time-consuming and expensive formalities, for the government, entrusted as it is with making proper use of taxpayers’ money, this clampdown can be seen as a natural reaction to ongoing fraudulent research conduct.

As these immature “minor” researchers grow into “adults” in the research world, they need to increase in self-awareness and develop a sense of responsibility as members of the general public. Having said that, as they are being trained, their seniors should not treat them like children, forcing them to blindly obey seemingly arbitrary rules. On the contrary, it is important that researchers receive ethical training that lets them see the rationale behind the rules and develops their ability to make sound judgments.
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Some Disclosed Cases of Public Research Fund Misappropriation
  and Grant Fraud
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(Cited from the MEXT Website[1,12,15])

Procurement Budget Misappropriation (Depositing)
The most common form of procurement budget misappropriation is a practice known as “depositing”: a research institution makes a fake order of goods to a contract supplier, the supplier then submits fake accounting documents to the institution, the institution wire-transfers money to the supplier, and the supplier holds onto the money for a future transaction or pays the institution back in cash. Despite being in clear violation of the rules, this system, whereby institutions “deposit” a reserve of money, had been quite commonly used in Japan as it allowed research institutions to put money aside to tide them over until they received funding in the next budget period. Further, in 2006, the documentation that researchers have to submit when requesting a carryover of funds was simplified, and as a result unused funds can now be carried over into the next year, provided that the carryover meets certain criteria and that a carryover request is submitted and granted [13,14].

Examples of “Depositing”:
  • In a Grants-in-Aid for Scientific Research project funded in FY2003, in order to secure extra money for a business-class air ticket (a cost not covered by the institution’s rules), a researcher had a contractor issue him with a fake invoice for consumables equal to the difference between the business- and economy-class fares, and then successfully claimed reimbursement of the invoiced amount from the university. The researcher also made other reimbursement claims to the university in order to buy several other items that were for personal use, or that had nothing to do with research, such as a study guide for junior high-school students and a shaver.
  • In a 21st Century Center Of Excellence (COE) project funded in FY2004, a researcher placed an order with a contractor to create a CD-ROM publication library as a part of preparations for establishing a program research center. However, the researcher actually carried out most of this work himself, under subcontract from the contractor. Through improper manipulation of accounts, the researcher managed to circulate the money back to himself.
  • In a Special Coordination Funds for Promoting Science and Technology project funded between FY2004 and FY2006, a researcher instructed a contractor to submit fake delivery slips and invoices for undelivered goods and had the contractor hold onto the sum paid as a deposit.
  • In a Grants-in-Aid for Scientific Research project funded between FY2003 and FY2005 and again in FY2007, a researcher instructed a contractor to submit documents such as invoices for a transaction that never took place. The university used research funds to pay the amount invoiced, and the contractor was instructed to create a separate account in which to deposit the money received. This deposit was then used to buy research materials that had nothing to do with the funded project, and in some cases the contractor delivered goods (such as a PC) different from those described on invoices.
  • In a project funded by Grants-in-Aid for Scientific Research from FY2007 to FY2009, an administrative worker ordered goods without authorization from researchers, and brought them home for his personal use.
In some instances where the use of procurement budget has been deemed fraudulent, the researcher involved was acting out of ignorance, or had been poorly informed by administrative personnel, and the item they were trying to procure could in fact have been purchased legitimately without resorting to making falsified claims.
  • In a project funded by Grants-in-Aid for Scientific Research from FY2003 to FY2007, a researcher instructed a contractor to submit invoices, etc. for a transaction that never took place. The university paid the invoices out of research funds, but the contractor was instructed to use this money to deliver items different from those described in the invoices. This money was also used to pay for the lease and maintenance of a photocopier. The researcher involved committed these violations because he had been under the impression that, once submitted at the start of the project, the budget could never be amended to cover unlisted items.
  • In a Grants-in-Aid for Scientific Research project funded in FY2010, in order to claim the cost back from the institution, a researcher falsified the date on some receipts for expensive research-related books that had been purchased prior to the start of funding. This researcher had never participated in seminars aimed at preventing the misappropriation of research funds, had never taken a look at the accounting manual, and was not aware of how funding accounts were processed. In addition, the institution had not provided all of its personnel with sufficient precautions and information with regard to misappropriation.
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Travel Budget Misappropriation (Fake Business Trip)
This form of misappropriation refers to various ways in which researchers use research funds to benefit themselves: they may claim costs unrelated to research under business trip expenses, receive duplicate payments from two institutions for the same business trip, or pocket the difference between the standard fare written on an invoice and the discounted actual fare. Researchers also sometimes pad their travel expenses so that they can use research funds to extend their trip for non research-related purposes, or to cover the cost of bringing their family.

Examples of Fake Business Trips:
  • In an FY2003 Grants-in-Aid for Scientific Research funded project, a researcher submitted a fake report to receive money to cover travel expenses for a business trip that had been cancelled.
  • In an FY2004 Grants-in-Aid for Scientific Research funded project, a researcher claimed the expense of bringing his wife on an overseas business trip, and was also reimbursed for accommodation in a separate location where he took part in a meeting to discuss a collaborative research project unrelated to the funded research.
  • In an FY2002 and FY2004 Grants-in-Aid for Scientific Research funded project, the following violations were made: (1) an unnecessary business trip was taken; (2) despite staying at the destination not for research purposes but for recreational purposes, a researcher was fully reimbursed for the cost of a trip; (3) although the work was completed one day ahead of schedule, a researcher didn’t cut short the trip but stayed on at the destination, and later submitted a false travel expenses claim and neglected to pay back the excess reimbursement.
  • In an FY2004 to FY2010 Grants-in-Aid for Scientific Research funded project, some researchers were reimbursed for business trips they did not take, or the length and destination of the actual business trip did not correspond to what was written on the reimbursement application. In some of these cases, researchers had contractors issue fake invoices so that they could claim the extra cost of bringing family members. Claims were also made to cover the remuneration of a research project associate who had not in fact been in attendance. A contractor was also instructed to deliver items which were either different from those described in the purchase order or which had nothing to do with the research project.
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Personnel Budget Misappropriation (Fake Remuneration)
This form of misappropriation typically involves claims for money to be paid to part-time workers. For example, in order to provide for their living expenses, research assistants may receive pay for part-time jobs they never did, or researchers may pocket money for personal use by using research funds to remunerate part-time workers and then having the worker refund them directly.

Examples:
  • In an FY1999 to FY2003 Special Coordination Funds for Promoting Science and Technology funded project, an investment-trust type misappropriation was uncovered: a researcher claimed for the remuneration of part-time workers who had not actually done any work, and then instructed the remunerated students to transfer the payments into the researcher’s personal account. A contractor involved in the misappropriation was also founds to have falsified bills.
  • In an FY2001 to FY2006 Grants-in-Aid for Scientific Research funded project, a researcher used the names of students in the lab to claim remuneration, instructed the remunerated students to repay the money to the laboratory, and used it to cover expenses involved in running the lab, providing financial support for international students, covering students’ field work expenses and paying registration fees for academic conferences.
  • In an FY2002 to FY2006 Grants-in-Aid for Scientific Research funded project, a researcher instructed graduate students to fabricate working records so that they could get paid for work they had not done, and used the remuneration money to send graduate students to academic conferences.
  • In an FY2005 and FY2006 Grants-in-Aid for Scientific Research funded project, a researcher ordered postdocs in his laboratory to allow him to open bank accounts in their names that he would control. He used these accounts to receive false remuneration payments, and kept this money so that he could continue to fund research after other funding had expired.
  • In an FY2007 Grants-in-Aid for Scientific Research funded project, a researcher instructed research-support students to submit false working records in order to claim remuneration for work that they had not done. The researcher collected all payments received through these false claims, and used the money to send students to research conferences.
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Other Cases
  • Between FY1996 and FY2003, researchers who were not eligible to apply for Grants-in-Aid for Scientific Research funding applied for the grant and received funding by fraudulent means.
Besides these examples, public research funding is also subject to yet more forms of fraud, such as kickbacks and overly-extravagant and inappropriate dinners.
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Underlying Causes of Misappropriation
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In most cases, misappropriated public research funds are not actually intended for the researcher’s personal use. But, given that instances of misappropriation continue to be uncovered one after the other, researchers, research institutions and funding agencies must work to address the following underlying problems:
  • Researchers
    1) A tendency to regard funding as belonging to themselves rather than to the taxpayers.
    2) A tendency to disregard rule violations that they believe will help advance the research.
  • Research Institutions:
    3) Administrators’ lack of familiarity with research projects and research equipment.
    4) Lack of supervision at an institutional level.
  • Funding Agencies:
    5) Overly rigid rules which prohibit the carrying over of funds from one fiscal year to the next or the reallocation of expenses.
    6) Differences in the rules imposed by different agencies.
According to a recent survey by the Board of Audit of Japan [8], most research institutions already have their own institutional rules in place to prevent misappropriation. However, for the sake of “simplifying workflow and boosting efficiency”, many institutions allow their researchers to select their own contractors and make purchase orders directly to them, orders that can amount to about 60% of total research funds. Further, researchers are strongly inclined to keep working with the same contractors, and some institutions even neglect to inspect and verify purchased goods. These circumstances create a heightened risk that researchers and contractors may conspire to conduct fraudulent transactions. Where, on the other hand, it is administrators who take charge of all of these tasks — selecting contractors, issuing purchase orders and inspecting deliveries — there is also a risk that the overly close relationship between administrators and contractors could give rise to unfair solicitation of business through client dinners and offers of prestigious company positions.

Researchers have long complained that public research funds are not easy to handle, and this dissatisfaction seems to stem from the issues described in points 5 and 6 above. Point 5 also entails the fact that, in Japan, even though funds are provided on a single fiscal year basis, grant proposals are not adopted until the middle of the first fiscal year. Recognizing these inconveniences, government agencies are now holding regular workshops, and have been working to improve the funding system in order to give researchers more freedom [23].

Instances of fraudulent public procurement (the use of public funds to pay for goods and services) can be found in public works, defense projects, or in absolutely any facet of governmental work. Mr. Yoshitsugu Kanemoto has identified the factors behind corruption in public works, and has made proposals on how the situation can be improved (cited below) [24]. His words apply equally well to the misappropriation of public research funds. The following is an excerpt from one of his proposals, “Lack of Incentives in Public Procurement”.

The ultimate distinguishing factor between procurement in the public sector and that in the private sector is that public buyers don’t have any incentive to get good products and services at a lower cost...Instead of offering incentives to reduce costs, the Japanese approach to controlling procurement has been to establish a set of detailed rules that limit the discretionary power entrusted to public buyers...The biggest problem with this approach — that is, the use of rules (legislation) to restrict buyers’ discretion — is that it gives rise to an attitude that as long as buyers are following the rules there’s no need to try and cut costs... restricting buyers’ discretionary power is not a good way to prevent corruption...corruption should be dealt with through exposure and punishment. Fortunately, procurement-related corruption rarely occurs in the U.S. Federal Government...Another factor that prevents this problem from arising is the practice whereby all communications between technicians (and other personnel who engage in procurement) are documented on record.
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Duplicated or Excessive Public Research Fund Applications and Awards
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Unnecessary expenditure could arise if a researcher applies for or receives funding for the same project from more than one public research fund. This is why multiple applications are considered a form of misconduct that is a potential waste of taxpayers’ money. It is also considered misconduct to receive funding from private corporations in addition to public research funds. Researchers who commit this type of misconduct often try to justify their actions by saying that the additional funds are to be used to expand or accelerate the research beyond what had originally been proposed. However, this reasoning is based on the researcher’s subjective judgment that their research merits expansion or acceleration, and deprives the general public of their right to review the proposal.

Where researchers apply for funding for an important project which may appear to overlap with another project, they need to provide a persuasive explanation as to why they consider that the project is not in fact a duplicate, and they must base their arguments on evidence that is as specific as possible (e.g., indicating differences in techniques or materials used).
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Effort
No matter how capable they are, all researchers have to work long and hard to produce high quality research results. Even relatively inexperienced researchers may be able to achieve excellent results if they devote enough time to a single project. When evaluating applications for public research funds, reviewers need to assess how feasible — how likely to produce successful results — a proposed project may be. Feasibility is calculated on the basis of an index, which is calculated by multiplying the researcher’s competence by the amount of time allotted to the project. In other words, feasibility is equal to the product of quality and quantity.

In line with this approach, any researcher applying for public research funds now has to declare the “effort” they intend to devote to the project: they must fill in what percentage of their total working hours will be allotted to the project. Many applicants would be tempted to fill in as high a percentage as possible just to get their application approved. However, if the researcher is working on more than one project concurrently, the total time spent on the two (or more) projects could end up exceeding 100 % of their total working hours, something which is obviously unacceptable. By requiring applicants to declare their “effort”, the Japanese government tries to avoid providing particular researchers or research groups with more funding than they would able to use effectively and efficiently.

Some researchers, believing that they can work much more than others — working on Saturdays and Sundays and putting in 15-hour days — may be tempted to declare working hours exceeding 100% of their working week. However, all this extra work can be considered to have contributed to achievements that the researcher has already made, and these achievements are factored in to the other marker of feasibility, “competence”. The figure filled in on the application should therefore reflect the percentage of the researcher’s total working hours including overtime.

Applicants for public research funds are thus required to declare “effort” as the percentage of their total working hours that will be devoted to the project [15]. However, as it stands, a funding agency is only informed of the “effort” that a given applicant intends to devote to the particular project under review. As long as the total “effort” figure on any given application does not exceed 100%, agencies don’t investigate any further. Applicants have been trusted to make the ethical choice to leave room for other work, including research contracted by private companies and non-research activities, in the total 100%. To give an extreme example, a professor working at a medical school clinical department may be very busy with other duties — managing the clinic, seeing patients, training students and even working part-time at other hospitals — and may not be left with much time to devote to research. Despite this, he or she may try to win funding by claiming on the application that 100 % of working hours will be devoted to the research project in question. This is clearly inappropriate. Not only does this kind of unethical behavior impede the effective use of research funds, it may also contribute to preserving the unproductive hierarchical structure that is ingrained in the clinical departments of Japanese medical schools, where senior researchers control all projects and rob their younger colleagues of the chance to advance their careers and establish themselves as independent researchers. Given the ethical standards that accompany the rights and obligations enjoyed by authors worldwide, it is wrong for a professor who hasn’t contributed substantial working time or intellectual input to a project to be cited as a co-author on published results, even if he or she has been named as the principal investigator of the public research funded project.

By way of contrast, applicants in the U.S. have to include hours spent on non-research work, such as time spent seeing patients and teaching classes, when declaring their total working hours. Researchers receive salary from the funding agency, hospital, and the university according to how much time they have allotted to each. Monitoring and on-site inspections are also performed in order to verify that the number of working hours actually spent on research corresponds to the hours that the applicant has declared. This system prevents researchers from devoting significantly less time to the research project than they had claimed in their proposal. Essential to this system is the fact that, in the U.S., public research funds cover researchers’ salaries, and this is where the major difference between the two systems lies. In Japan, although MEXT funding does indirectly cover part of the salaries paid to some faculty members at private as well as national universities, the amount paid does not correspond to the time researchers devote to the project.
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Conclusion
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Despite the many challenges Japan now faces, including the economic crisis, the government continues to allocate huge sums of public funds to research, an investment that reflects the amount of faith that the Japanese public places in its researchers. Having been entrusted with this precious taxpayers’ money, it is up to the scientific community, and the administrative personnel who work alongside it, to make efficient and effective use of the resources that have been put at their disposal in order to get the best results possible. In addition, everyone involved in research needs to strive to prevent the misappropriation of research funds, including money diverted for personal use and the arbitrary reallocation of funds, as this kind of misconduct is a betrayal of the public’s faith and expectations, and threatens to compromise the support society gives to the research community.
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References

[6] Council for Science and Technology Policy, Cabinet Office
On Efforts to Prevent the Misappropriation, etc. of Public Research Funds (Common Guidelines)
[22] Council for Science and Technology Policy, Cabinet Office
Government Agency Initiatives
[24] Yoshitsugu Kanemoto, Challenges in the Public Procurement System, Finance, Vol. 41, No.2,May 2005, 65-72 (2005).


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